ふるえると泡立つ

ふるえると泡立つ
何らかの手違いで説明を受けなかったのだろう。
女が空中(水中)でしゃがんで震えている。目を瞑っている。耳も塞いでいる。
しばらくすると、彼女の周りが泡立ち始め、繭となって彼女を包んだ。
彼女自体も泡立つ。
ふるえると泡立つ
ふるえると泡立つ

1. 基点を決めて1つ目の窓を開ける。
2. その黒い立体は写真のフイルムを何枚も何枚も重ね合わせてできている
3. こっち側は、もう一つの方向がある。
4. 絵の中の折り畳みの出口と本の中の段落の階段。
5. 磨かれた金属の模様。
6. すべてはまじわらないが絡まったままに幕を引く。
7. 丸すぎるもの。
8. 表と裏の間の厚み。
9. それぞれの次元は、小数点の二乗の方向が含まれている。
10.遠くに行くと隣にくる。
11.その次元の法則に沿って形態と能力が決まる。
12.地と図は簡単に裏返る。

ここにも街がある。あそこでは消えてしまったものが全てそこここにある。
人の脳の中には生まれた時からのあの時のその時のすべての状況が全てあるという。
覚えているというのじゃなくって、全てが、ただある。ただある。
無くなってしまってと思ってたものが無くなっていない。無くなったと思っている。
ええ、見えなくなったから。
ここにも当然のように全てがただある。
見えるようになる。今の連続に存在していると今にしかいない。今以外にいると昨日にも一昨日にも、去年にも、一昨年にも、明日明後日来年再来年、100年後にもいる。千里眼は遠くのものが見えるだけじゃなく、ふつう見えないものが見えるらしい。予知やそういったこと。真っ黒に見えるのは全てが重なっているからで、全部降り積もっていて折り重なって、溶けることはない。ここにはあらゆる方向に、街があり人が暮らしている。
それまでも、これからもあれからもそれからも。
ただ ふるえると泡立つ