海の中

先週土曜の《小林 晴夫 & blanClass performers [Traffic on the table]》のソロ部分の「海の中」の文章のせときます。

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浮いたり沈んだり
寄せては返したり
吸ったり吸われたり
自分ではすっかり覚悟を決めているつもりにもかかわらず
なかなかブヨブヨと膨らむばかりです
何故だかずっと仰向けの状態で浮かんでいましたので空ばかり眺めておりました
海面から秋の空を眺めていますと、雲が低いところから高いところまで層になって重なっているのがよく分かります
層によって出来る種類の雲の形も違いますし、流れるスピードも向きさえも違ったりするからです
だんだんと層の幅等も分かります
そうしてここから先はとてつもなく遠いのです
夜になると大気圏外を眺めます
宇宙の方が良く見えるようになります

だんだんとブヨブヨになり続けていたのですが、そのうち裏側には海水が肉と皮の間に入って水泡ができてきました
表の方は表の方で風と雨と太陽で泡立って、まぁブヨブヨと言うよりプクプクアワアワです
で、波間にプカプカです
金魚にこんなのがいたね
そうなるとどっちが裏か表かなんて大きいのか小さいのかとか分かんなくなってしまいまして、面白がって突きよるもんだクルクルと回りながら漂う羽目になりまして、そうしましたら長いのか短いのかなんてのもね
そうやって、プカプカクルクルしてましたら、ある時クラゲが大発生している海域に出まして、そしてあんまりにも長いこと、それらと一緒にいましたら、境目が分かんなくなっちゃいまして、まぁ、向こう側からみても、クラゲにしか見えないでしょうし
まぁ、そうなってもポカンと空ばかり見てたんですけど、
しばらくそうしてたんですけど、だんだんとクラゲ的には、異物だってことでしょうか、下へ下へと押し下げられちゃいまして、
そうそう、1つ1つの中はコイルがたくさん巻かれていました
海中に沈んで行くと色んな力に引っ張られるんです、引っ張ってもいるんです
やたら外向きの力もかかるんでやもすると飛んできそうなんですが、猛烈に中心にも引っ張られるんです
赤い赤いところを抜けた時に、本当に真っ暗で密度か半端無い、あぁこりゃプチンプチンと破裂するかって思ったんですが、そんなことよりも、中心に向かいたいそれしか考えれないくて、憧れて恋いこがれて、今までにないこんなに


 「はーりの山にのーぼれのぼれーざくざくざくぷすぷっすぷすじょぼじょぼじょぼぺらぺらひらひらひらぽっちゃんぷくぷくぷく、はーりの山にのーぼれのぼれーざくざくざくぷすぷっすぷすじょぼじょぼじょぼひらひらひらぽっちゃんぷくぷくぷく・・・・」
あぁこれは小さい時にきいたぞ。高野の坊主が林間学校のときに話してた。
地獄の鬼だ。死ぬことを思うと出てくる掛け声。
針の山にザクザク登って、身体にプスプスと穴があく。ジョボジョボと血が身体から全部流れて、ペラペラになる。風が吹いてヒラヒラと飛ばされて、ポッチャンと血の池に落ちる。プクプクと身体が膨らむ。すると鬼が言う。「針の山に登れ登れ」
無駄の無い永久運動。


 その声が聞こえる。
「あれ?ちょっい待ち、うち死んでしもたんか?え、死んだんや?え?白の、そうか白のサニー白のガードレール・・・・。ぐにゃって、あれは柱、火の柱、キレイダナー、港の風景に映えるって誰が言った?、飛んで、ああああ、はいそれまでか、それからはこれからか」