川で 7

サエは源流に座り左手を水に浸けていた。
「ボワッと染みでてこ、ボワボワっと染み出てこ、直線と曲線と隙間・・・、あの木に対しての空間は地なのかとか、私も中に居る。空気は限りなく大きな物体であると、ってそうなると層(そう)なのかって、そうなのか?大気圏とか成層圏オゾン層、対流圏とかのことなのかしら、 空気を水のように仮定すると、ってかぎりなく同類項な、気体と液体と固体に対する認識の、物質というと固体というか、密度かしら、粒で考えてもラチはあかないか、点で考える方がマシかしら?いや、粒かしら、子というのは単位にはならないわよね・・・、これじゃ寄せ集めの曖昧模糊だわ。ボワッボワボワ、あぁ少し冷えてきた。」
コンコンコンコンと一定のリズムで木をたたく音がする。斜め後ろの木にコゲラがいる。シロとクロの縞のマントの小さいコ。
そのうちにサエは右手で胸を叩いて、コゲラの少し早いリズムに合わせていた。
(つづく)