川で 5

ケーンという甲高いキジの声と同時に、かの子は再び川面に向かって石を投げた。
1段、2段、3段、4段、5段と石はスーパーボールのように水面を跳ねて、流れに飲み込まれた。
かの子は、橋の方を見上げ逆行の中に立つO氏に勢い良く手を挙げた。
O氏は頭の中でオンオンと答えながら、薄らいでいくかの子を見えなくなるまで、見えなくなった後もしばらく見つめていた。

(つづく)