「10個目のぼっち」

「10個目のぼっち」
テッペンにたどり着くには、幾日かかるのか?
「この塔の周りの螺旋階段を上って行くとね、3日でたどり着ける辺りに、ちゃんと休息所があってね。水と食べ物がもらえるよ。」
と私の肩に手を乗せながら、やたら背の高い男が教えてくれた。
「3日に一度しか、休めないの?」と聞き返したら、男はニヤリと笑いながら、
「あの背の低い奴がそう言ってたんだよ。奴は2年前にテッペンに行ったことがあるのさ。」と言った。
「何があるの?」
「だれかの宝物だよ。」
「あの人は、それを持ち帰っては来なかったの?」
「奴には要らないものだったんだってさ。」
「テッペンには、何日で着くの?」
「・・・さあね。」
私は、それから毎日、日がな一日、塔を見ていた。
7日目の朝、塔の真上に金星が光ったので、塔の階段を上ってみることにした。
私の宝物があるかも知れないと思ってしまったのだ。