「3個目のぼっち」

「3個目のぼっち」
駅までに行く途中の橋で、度々蹴つまずく小石があった。
小石は、少しコンクリに埋まっていて、常に足の小指で引っ掛ける。
橋の真ん中あたり。
ある雨の日の夜9時頃、いつもより強く蹴つまずいた。
辺りに人が居なかったので、小石を拾い、橋から川に投げ捨てた。
小石は、川の流れが渦になってる中心に、小さな波しぶきを立て沈んでいった。
土手の街頭が、その場面をちょうど照らしていた。
雨の匂いに混じって、葡萄の香りがしたような気がする。