『黒男』-6

「だから、白い線が引いてあるじゃない。だから、薪を集めて、最初に火を付けた黒い男がいたでしょう」
「小さい頃にデパートで、そんな手品を見たような気がするよ」
「私は薪を燃さなきゃね、かげろうが沢山生まれるのよ」
「かげろう?」
 天を仰いで、梯子をかけて、扉を開けて出て行った。
  闇の中で、白い火が燃えている。