『黒男』-5

「早く、江ノ島に行かなきゃ」って、H君に言ったんだ。そしたらね、「さようなら、僕は松林に行くよ、地下鉄に乗るから、朝は、もう直だから」って帰ったんだ。僕たちは松の木のてっぺんからマリンタワーに飛び移って、二階の土産物売り場で、ダルダンを食べてたんだ。ダルダンを食べたら、僕は手が3本になっててね、3本共から白い線がズーと続いてた。「しかし、いきなり手を引き抜くなんて君は乱暴だなぁ」って振り向いたら、君は鳥みたいな顔になってたんだ。「顔が鳥みたいだよ」って「君は鳥だよ」って「鳥が花だよ」って「昨日見た夢の話で良いから」って一生懸命言ったんだ。売り場がどんどん満員になってさ、皆が鳥か花みたいになったよ。