キノ子

ある朝早くに、キノ子は木の股から生まれた。
真っ黒な体は、白っぽい産毛で被われていた。
黄みがかった眼をして、水ばかり飲んだ。
夜は立ちながら眠った。

嵐の日に、小さなキノ子は風にあおられて飛ばされそうになった。
キノ子は、モゾモゾと木のウロに入って、丸く縮こまりながら、嵐が去るのを辛抱強く待った。
「この雨が土を奥まで湿らす。この風が死骸を運ぶ。この雷は大事な電気。」
とウロの壁からブツブツ聞こえていた。

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BankARTのオープンスタジオまで、後10日・・・。
ばたばた。
http://www.bankart1929.com/news/pdf/SummerOpen2010.pdf
に、詳細載ってます。
私は、3Fの38スタです。
ぜひぜひ。