桜と骨

さほくらね ほさねくら 
指先を湿らせて、粉のような食べ物に指先を沈める
粉まみれになった指を舐める
花の甘さに酔う
お茶碗に桜を浮かべて湯を注ぐ
ピンクの香り
ピンク色は白に赤を混ぜるとできるのですよ
決して、赤に白ではないのです
フラットに湿った黒は、皮でしかなく、ピンク色の肉を包むのか
湿地じゃないと骨などは溶けて残らないと
粘土に包まれて石になる
出きればトロッとした沢山の水を飲むこと


「昨日、私、骨を掘り出しましたの」
と女の子は言った。
僕は、桜の木の下に、3年前に埋めたハムスターのことを思い出す。


骨皮筋衛門と大岡桜子は、二人で秘密を共有している。
ある日、二人は上流から川を挟んで歩いていた。
橋があるごとに、二人は対岸に渡る。
その度に、橋の真ん中で出会う。
真ん中で二人は川を覗き込む。
気が済むと擦違い、また、川を下る。
そして、また橋があると真ん中で二人並んで川を覗き込む。
また、擦違い、川を下る。
中流を過ぎて橋を29本渡った時に雨が降ってきた。