某ネズミーランドにて

 遺跡現場ににあぶれた私を、短期バイトで雇ってくれたのは、年度末調整で大忙しの某夢の国の塗装会社。
先週は、工場でアヒルの船型お花ワゴンにペンキ塗装したり、アヒルの彼女の名前を書いてみたり。今週は、現場夜勤で国中の手すりの錆止め修復。
作業自体は特にどうというでもなく、仕事としての猫の手。
ただただ、「よくもこんなに作りこんだもんだ」と夢の国を見渡してみたり。
一人のオッサンの夢で喰らう、資本主義のなせる不気味な技に、ゾッとした。
 夜の舞浜駅には、頭にネズミの耳をつけ、今だ夢の中の人だかり。朝には、ポップコーンの容器を首に下げて、夢の期待に胸躍らせた人だかり。
双方と擦違いの出勤退勤。
皆と同じ夢見て踊るには、眠すぎて、そして、どうやら正気すぎるようだ。