《山の中-1》

ki9te502006-05-30

《山の中-1》
 朝も早よから、何の因果で、二人で車に乗り込んで、わざわざ山中を白浜までドライブやと〜、あほか、と半目がちのS子を他所に「すっげー、河内方面が一望できるで、あの遠くの山って六甲山ちゃうん」とはしゃぐ羽田。朝日もまぶしい。「ラジオ・・・」とS子がつぶやいた。
[・・マワキサンハ、所要ででかけております、まぁ先生、お一つどうぞ。君の驚く顔がみたくてね、夜の川を船が流れていくのをみたんです、丸髷の女が二人乗っててね、一方の女が髪が黄色なんですよ、偶然じゃない、仕組んだんだ、君が途中で会うのも計算のうちさ、あなた、御入りになって、あなた、どうしてここへ?どうします、このまま帰りましょうか?私も道化は真っ平です、いいえ、帰らないで、夜は寂しいものです、しばしお相手を、ホオズキ売りのおばあさん、正体が知られない点では同じです、そうですわね、変ですわね、嘘つきだ、あなた嘘つきですね、奥さん、正体見せてもらいますよ、妙に鳥が騒いでるんです、気になりませんか? そうですか、いつもより静まり返ってるように思いますよ、お手紙が来てますよ、女の人から、今時、自分の気持ちを通させてもらいますよ、三度お会いして四度目の大瀬は恋になります、それでもお会いしたいのです、殺されるわよ、子供の遊びでございますよ、あはははは、夕べあなたをお見かけしたような気がします、お稲さんです、弔いの行列を見たじゃありませんか、そっくり、あの通りに書きました、夢のままに、松崎さん、一生覚めなければ夢はユメでなくなるのに、濡れた瞳とさ、ささやきについ騙された恋心、綺麗な薔薇には刺がある、綺麗な女にゃ花がある、聞いてみたってそれだけよ、・・・・・] 
「・・・陽炎座・・・、せやから、早朝にはおかしいやろ!」「っても、しらんやん、ラジオ、NHKラジオに文句言えや」「鈴木清順は、夜中のモノやろ」「ははは、せやから、知らんやん、心中でもするか」「あほか、絶対嫌じゃ」 
バチッバチッと車のフロントガラスに2匹の足長蜂がぶつかって潰れた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 

 
 
☆「やまひこ7・2・7(仮)」このブログが、何なのか説明不足でした・・・。
  私は制作をする時に「今回はアレを捕まえよう」という抽象的な感覚的な目標みたいなものがあります。それは大抵が、景色の映像とか体験とか夢等の出来事に拠っています。それを写真とかは見ずに、出来得るかぎり具体的に起こしていくという作業をします。でも、ただ自分の昔話を起こしても面白くないので、物語を妄想や想像や裏付けや肉付けや仕掛け等を、工夫して作っていきます。いつもなら、その思考の段階(遊んでる状態ともいう)に捨てていく、思いついた文章やエスキースや下書きを、その都度、見せているといった具合です。つまり、パーツを組んで罠をしかけてる状態です。今のところは、最終的に、どういう答えを出せるのか、まだ分かってもないし、何の予定も決まってないです・・・。だから、何にも考えれなかった日には、やまひこ以外のことも言ったりしてます。でも、何ヶ月後(もっと先かな)には、かなり思い付きが貯まって「エライコト」になってる予定です。
 なので、気長にご高覧頂ければ幸いです。