《パノラマとパラレルワールド-4》

《パノラマとパラレルワールド-4》
「〈何せうぞ、くすんで、一期は夢よ、ただ狂へ〉とでも、言うかしら」
「・・・何になるだろう、まじめくさってみたところで。どうせ、一生は夢だ。ただ、狂えばいい? ・・・分かんないわ。分かるわけないわ。さっきから、何一つ分かんないし、記憶ないし、あんたもキャラ違うし、羽田は犬だし・・・」「うーんと、とにかく、困らないで」とS子は笑った。「もう、開き直ってるわ」とまさみが言うと、「スゲーな、女は」と羽田犬が言った。「羽田?」「わん」と言いながら、羽田犬は、まさみの隣の椅子に乗っかると、プーと膨らんで人間サイズになると、コキコキ言わせながら羽田の姿になった。「羽田、服着なさい。前も隠せ、ばか者」とS子が言った。「はいよ、はいはい」と、羽田は二本足で歩いて部屋を出て行った。
 「じゃ、結論から言うわ。羽田は、昨日、ここに現れた。そして、あなたは10年前から、毎日来てる。今日で3650日目だし、3650人目だわ。でも、こんなに(まさみらしいまさみ)は初めてよ」



「7・2・7の看板辺りの裏側から」です。